とにかく、登場人物の魅力が半端ない!-『レアリアⅠ』(雪乃紗衣著)読書レビュー
今回は、雪乃紗衣さん著「レアリアⅠ」を紹介します。私のレビュー記事は、前半は「未読」の方向け紹介文、後半は「既読」の方と語りたいがための熱弁で構成されています(そのため、ネタバレ注意の場合も)。「未読」の方は、記事途中でUターンをお願いします。「既読」の方は、一緒に感動を分かち合いましょう。語り合いましょう。
はてなブログでは、はじめまして。様々なブログサービスを試した結果、しばらくはここに落ち着こうかなと思っています。さえです。
雪乃先生と言えば『彩雲国物語』ですが、今回は新作シリーズ『レアリア』の第1巻をレビュー。
軍事を担う魔女家当主・オレンディアの元に育った少女・ミレディアは、幼い頃に森で拾われた身。彼女は森で出会った青年・アキのことをずっと想ってきた。が、その念願の再会は、やがて世界に悪夢をもたらした。今、17歳となったミレディアは魔女家名代として、仲間と帝都へ向かう。両国の休戦、次期帝国皇帝候補の後見、そして、愛する彼を殺すために。 ―商品紹介より引用
架空の国を舞台に繰り広げられる物語。主人公は17歳の少女・ミレディア……ですが、ここがこの作品の好きなポイントの1つ。
とにかく、登場人物の魅力が半端ない!
「え……なにこれ……。みんな魅力的すぎる。好き……」と読み進めていくうちに沼に足が沈んでいく音がします。ちなみに、私がシリーズ1作目を読んだ時点で一番好きなのは、レナートです。ぽんこつレナート。好きすぎて、彼が発する言葉に何度も胸が締め付けられました。悲しみと感動で、ギュッと胸が。詳しくは記事後半で。
リズミカルな文章と美しい表現の数々
時には勢いよく、時には葛藤・戸惑い。文章で感じる物語のリズムに、更に物語を深く味わえます。何より、表現が美しくて、美しくて。雪乃先生の言葉が個人的に好きなのもあるけれど、読んでいる中で「いいな」と思う表現がいくつもあり、本当に読んでいて楽しかった。「楽しい」という感情が、本を読んでいて一番大切だと私は思います。その場限りではなく生涯心に留まり、最も感情を揺さぶる娯楽。それが読書なのではないかと思うのです。
圧倒的情報量の緻密ファンタジー
とにかく情報量が多い。登場人物も多い。それがいい。一度、この世界に引きずり込まれたら、ずっと心のどこかにミレディアが残る……全てを読み終えた時、そのようなシリーズになるのではないかなと、この1作目を読んで思いました。
<こんな人に特にオススメ!>
・ファンタジーが好き
・濃い物語を存分に楽しみたい
・キャラクターに惹かれやすい
・シリーズものが好き
・愛って?命って?
ぜひ、あなただけの本棚に。
以下、ネタバレ注意。
「既読」の方のみ、どうぞ。
私がレナートを一番好きだと感じたのは、彼自身の不安定な身体とは反し、確かなミレディアへの忠誠・愛情が心にあるからだと思う。長いシリーズの中の、読み始めてからたった40ページの時点で、3回は心が動かされた。ミレディアもレナートを大切に思っているから故に、彼に安全な場所にいてほしいと願い、レナートはミレディアが大好きだから、最期まで一緒に過ごしたいと願った。
「離れていることが、痛い」。レナートのミレディアへの愛情が温かかった。最近読んだ本の中で、一番好きな登場人物。これからレナートに待ち受ける運命に何度泣いてしまうのだろう?
みんなは読んで、だれに一番惹かれましたか?
まだ確定していないことだから深く言及はしないけれど、この状態に陥ってしまった一番の理由は「愛」だと、個人的にはそう感じました。不安故に、壊れていく。崩壊は積み重なっていき、ミレディアを取り囲む状況が生まれたのではないかなと思います。アキも謎、仮面の王子も謎、まだ謎が多くあるから、2作目も本当に楽しみ(ちょうど読んでいる途中)。
たまに「え!主人公が急成長してる!いつの間に!?」と、気づかないうちに主人公が成長している作品もあると思うけれど、ミレディアは成長過程が丁寧に描かれていてすごく良かった。だから、感動もひとしおだったのだと思いました。
本当に読んでいて楽しい時間を過ごせた本でした。おすすめ中のオススメです。
さえ
<告知>
・12/9 18:30~ TokyoRockets×ドロシーリトルハッピー(ドロシーフレンズ) ツーマンライブ @青山RizM
・1/20 19:00~ ★生バンドLIVE★TokyoRockets×SISSI ツーマンライブ @六本木morph-tokyo